ヴィパッサナ瞑想記 in カリフォルニア 1 

 

 

Day 1

 

 

ピピピピ ピピピピ ピピピピ

 

 

朝の4時。

 

外はまだ真っ暗で

まだ星達が空にきらめいている中

ベッドの脇に置いてある目覚まし時計が鳴り

ルームメイトが起きて支度を始める中

まだ布団に丸まっている私、、、。

 

 

ね、眠すぎる、、、、。

 

あと5分、、、、。

 

 

そうこうしているうちに、外の鐘が鳴り響き

4時半からの瞑想の始まりの合図を

耳で確認。

 

あわてて顔を洗い

明らかに心の準備もできていないまま

規則に従って、早朝の瞑想を始めるのですが

起きがけの瞑想時には、私にとって

「最強の睡魔」が襲ってきます。

 

 

起きているのがやっとで

とてもじゃないけど瞑想なんて出来ない、、、。

 

 

ヴィパッサナ瞑想においては

心の汚濁は「睡魔」として現れ

その人が瞑想によって心を浄化するのを

妨げようとするのだそうです。

 

 

早朝のみならず、丸一日この睡魔という

モンスターに襲われ続けた第一日目。

 

 

コースでは、初日から3日半は

「アーナパーナ」と呼ばれる呼吸法のみを行います。

 

 

呼吸法とは言っても、、、

 

呼吸を意識的にコントロールすることなしに

自然な空気の出入りを

鼻の穴の中や鼻の下の皮膚で感じ

目を閉じてひたすらこの感覚を観察する

、、、というもの。

 

 

実はこれ、本格的にヴィパッサナ瞑想を始める前の

大切な準備。

 

 

精神集中と、心のおしゃべりに

気をとられない為の非常に重要な訓練です。

 

単純に聞こえますが、これを

実に一日10時間以上行います。

 

実際やってみると、こんなシンプルなことが

なんと辛いこと、、、!!

 

 

瞑想が始まってすぐは、集中してひたすら

空気が鼻から出入りする感覚を

感じようと努めるのですが、、、

 

20分、30分と時間が経つにつれ

襲ってくる睡魔や足のしびれと共に

心はあちこちに飛びまくります。

 

 

まだあとどのくらい時間が残っているんだろう、、、?

 

お腹すいた、、、今日のランチメニューは何かな〜?

 

○○ちゃん、最近どうしてるんだろう。

帰ったらメールしよっと。

 

 

最初は、こういった小さな独り言が

心の中で始まります。

 

この段階においては、その都度気づいて

意識を呼吸に戻すのはまだ簡単ですが

何かのきっかけで、いったん大きな考え事の渦に

どっぷりはまってしまうと

そのあと呼吸に意識を戻すのが

どんなに大変なことか。

 

ちょっとでも気を抜くと

とりとめのない思考や妄想にかられ

心が過去や未来へと、あらゆる方向に

出かけていきます。

 

しかし実際はこれがまさに

今までに身につけた「心の癖」。

 

 

そして、このように心が「今、ここ」から

どこかに飛んでいってしまうと

呼吸していることすら簡単に忘れてしまう。

 

 

前に京都でコースに参加してから

8年という長い年月が経ってしまい

個人の瞑想も、最近はほぼやってなかったので

前回培ったはずの集中力が簡単に蘇ってこない

という事実に落胆する私。

 

 

昼食のあとに、生徒はティーチャーに

個別に質問できる時間があるので

ある日、私はティーチャーに尋ねました。

 

 

「思考や妄想が頻繁に生じ

呼吸だけに集中できません。

どうすればいいのでしょうか、、、?」

 

 

「今の時点で、思考や妄想がなくなる

ということは、ありません。

 

それらは生じるのです。

 

ただ、そういったものに対しては

隣の部屋から聞こえてくる

ラジオの音のようなものだと思って

その音に聞き入ってしまうのではなく

遠くで <何か> が聞こえているなぁ

という意識で、呼吸を観察し続けなさい。」

 

 

このアドバイスにかなり救われ

その後は思考や妄想が生じても

それにどっぷり囚われたり

またそれを追い払おうとしたりすることなく

呼吸に集中できる時間が徐々に長くなりました。

 

 

実際、呼吸を注意深く観察していると、時には

片方の鼻の穴から空気がより多く出入りしていたり

集中している時は、呼吸がかすかなものになり

また心がブレると、呼吸が大きくなったりする

という事実に気づき、呼吸も常に一定ではないことが

感覚で分かるようになりました。

 

 

今思えばコース中、最初の2日間ほど

「1時間」という時が、まるで永遠に

過ぎ去らないかのように感じられたことはなく

思考、妄想、睡魔、落胆、空腹

足のしびれ、背中の張りなどの

「呼吸への集中」を困難なものにする魔物たちに

翻弄されまくるという、非常に辛いスタートと

なったのでした、、、。

 

 

 

(続く)