アースシップでの「水」の循環サイクル
今回は、アースシップの中での「お水」について。
アースシップでは、「水」の循環というのが、
とても大切な要素としてあげられます。
アースシップ滞在中は、普通の家と同じように、
水が快適に使えました。
たまに、ここには公共の水道が通ってないことを
うっかり忘れてしまうくらい。笑
アースシップにおいては、、、
1. キッチンやシャワー、洗濯で使った水が
2. サンルームの植物を育て、微生物に浄化され
3. トイレを流すのに使われたのち
4. 菌によって処理され、庭の植物に使われる
このように、水を無駄なく4回も利用することで
全体的な水の使用量を少なくすることができます。
それでは、順番に説明していきますね。
水は空からのいただきもの
日々の暮らしで使う水は、雨水や雪解け水を、
屋根の雨樋(あまどい)でキャッチして使います。
空から降ってくる水を、小石でざっくりと濾過しながら
家の北側に盛られた土の中に埋め込まれている
大きな貯水タンクにうまく誘導します。
↑建設中のアースシップ(タンクがまだむき出しの時)
*この3枚は、Earthship HP、およびマイケル氏より拝借
ろ過された水を使うプロセス
雨どいを通る時に、小石でろ過されて溜められた水は、
このシステムで、飲料水レベルまでさらにろ過されます。
↑アンドレッサが、ステイ中にウォーターシステムを
丁寧に説明してくれているところ。
写真では左側が切れているのですが、このシステムは
3つのろ過装置と、飲料水用のフィルターから
成り立っています。
左側のろ過装置は、キメの荒い「60メッシュ構造」
真ん中のは、少しキメが細かい「500メッシュ構造」
一番右は、さらにキメの細かい「1000メッシュ構造」。
水は左から右へと流れ、3つのメッシュ構造を通って
きれいに濾過されたのち、さらに飲料水用の
セラミックフィルターを通ります。
(上の写真では、指で指している部分)
そして、いざ私たちがキッチンやシャワーで
水を使うときは、プレッシャータンクによって
水圧をかけられることで、蛇口からでてきます。
*これはビジターセンターで撮った写真ですが
この右の青いのが、プレッシャータンク。
また、左にある細長いチューブの中に浮かんでいる
小さなボールの位置をチェックすることで
タンクの中の貯水量を、視覚的に確認できます。
この日は、雪解け水がかなり溜まっていたから
たっぷりお水を使っても大丈夫だったので
ありがたいなぁ、、、という気持ちで
滞在中は水を贅沢に使っていました。^^
逆に、雨が降らない日が長く続いて
タンクの水が少ないときは、シャワーも軽めにしたり
料理や洗濯でも、節水しないといけません。
まぁでも、オフグリッドの家に限らず
干ばつの地域で暮らしている場合は
日常的に節水しないといけないのですけどね。
(以前、カリフォルニア時代も、干ばつで節水してました)
1度使われた後の排水、「グレイウォーター」
キッチンやシャワー、洗濯機で一度使われた水は
グレイウォーターと呼ばれ、サンルームのジャングル、
「ボタニカルセル」へと流れていきます。
ボタニカルセルで育つトマトを収穫中
「ボタニカルセル」とは、サンルームに作られた
端から端まである溝(水槽)の部分なのですが
下の層には石、上の層には土が入っていて
そこで、さまざまな植物が育っています。
実は、ここをグレイウォーターが流れているのですが
キッチンや洗濯機、バスタブから出る大量の水は
細かい土の層よりも、その下の粗い石の層を通ることで
すばやく滞りなく流れていきます。
*図はマイケル氏より拝借
ここでポイントになるのが、植物の根の部分にいる
有害物質を分解してくれる微生物たちの存在!
根のまわりには、植物から出される糖質や酸素を求めて
とても沢山の微生物たちが集まっているのですが
彼らの活動が活発になることで、水中の有害物質が
分解される、つまり水が再びろ過されるのです!
2度目に使われた後の排水、「ブラックウォーター」
植物と微生物によって、ある程度ろ過された水は、
今度は、トイレを流すのに使われます。
その水は、今度は「ブラックウォーター」と呼ばれ、
浄化槽に流れていきます。
そこでは、酸素のないところで働く「嫌気性」の微生物が
トイレからの汚水に含まれる有機物を分解したり、
大腸菌などの菌を処理してくれます。
浄化槽でろ過された液体は、またボタニカルセルを通り、
最終的には、庭の植物たちのところまで流れていきます。
マイケルが徳島で行なった、浄化槽についての講義
この浄化槽、市販のものでも大丈夫なのですが、
アースシップ流、タイヤを使ってDIYで作る
浄化槽というのも、実は存在します。
(ここでは長くなるので省略しますね)
人と植物と微生物のハーモニー
アースシップにステイしているあいだ中
ここには、人間と、植物と、微生物たちのあいだに
精巧で美しい共存関係があるのだなぁということを
ひしひしと感じてました。
自分が出したグレイウォーターが植物の養分になり
そこでできた植物をまた自分が食べるという
循環がある、、、。
裸でシャワーを浴びている時なんて
その循環を肌でダイレクトに感じることで
まるで自分の体の輪郭までもが、雨水シャワーで
自然界の循環の中に流れて溶けていくような、
とても不思議な感覚に。
太陽が、海や川をあたためることで、
水分が蒸発して空にのぼり、やがて雨になる。
その雨を綺麗にして、私は体を洗う。
その水が、排水をとおって流れていく先には
植物と微生物がいて、彼らが活発になることで
酸素ができたり、食べ物ができたりしてる。
そして、私はまたそれらを体に取り入れて
今日も生きている。
私のからだは、マクロなレベルでも、ミクロなレベルでも
自然の一部として、色んなものと関わり合いながら
大きな全体性の中で生かされているんだなぁ、、、。
水の流れの視点から、地球とのつながりを感じとれることは
私にとってはもはや、ヒーリングそのものなのでした。
長くなったので、お水の話は一旦ここまでにしますね。