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モニュメントバレー

ネイティブアメリカンの光と影(1)

 

メサベルデを後にし、次の目的地は

私が以前からどうしても行きたかった

ナバホ族の聖地、モニュメントバレー。

 

 

連日、気持ちのいい天気。

 

 

途中、ガソリンスタンドで休憩していると

店の外にあった掲示板に貼られた

「メディスンマン情報」とか

「ファイヤーマン求む」といった

張り紙が目につきました。

 

スピリチュアルな儀式が日常に浸透し

古代からの英知と自然の神々に包まれた

ネイティブアメリカンの地にいるんだな〜

ということが、しみじみと感じられます。

 

駐車場に停まっていたトラックの後ろに

張ってあったステッカー。

 

 

道路の両側には、褐色の大地が広がり

先住民のリザーベーション(居住区)を囲う

フェンスが、どこまでも続いています。

 

 

 

車の窓を開け、乾いた外の風を顔に感じていた時

ふと、フェンスの下に意識が向き

視線をそちらへ向けた、その時、、、

 

 

あれっ?

 

 

 

視界に飛び込んできたのは

日光を反射してきらきら光っていた

ポイ捨てされた、無数のアルコールの空き缶や瓶!

 

 

どこまでも続くフェンス沿いに

どこまでも続くアルコールの形跡。

 

 

このフェンスの向こう側は、ナバホの地。

 

そこは本来、住人も観光客も

ナバホ国の法律でアルコール類は禁止されています。

もちろんアルコールは売られてもいません。

 

しかし、そのフェンスの外の世界においては

店やガソリンスタンドで普通に酒が手に入るので

そこで買い込んで、飲酒運転をしている人たちが

沢山いるようです。

 

 

実は、ネイティブアメリカンの中には

アルコール依存症の人達が沢山いる、というのは

結構有名な事実。

 

 

本来、アルコールの耐性の無い

ネイティブアメリカン達のもとに

アルコールを持ちこんだのは、白人達。

 

白人による迫害で、民族のアイデンティティを失った

ネイティブアメリカン達は

次第に一日中酒に溺れるようになったそうです。

 

さらに今では、アルコールのみならず

ドラッグやギャンブルに対する依存症も

非常に深刻化しているみたいです。

 

加えて、暴力や犯罪、自殺、失業率の高さ

貧困、肥満、糖尿病などの問題も。

 

 

 

ネイティブアメリカンの「今」は

色んな意味で危機に直面しています。

 

 

 

さて、話を旅に戻し、、、、

 

フェンス沿いにドライブを続け

陽が傾き始めた時

モニュメントバレーが近いと思わせるような

沢山の大きな岩が現れはじめました。

 

 

そろそろかな、、、?

 

 

そして、ついに視界の先に

太陽と月に両側から照らされた

モニュメントバレーの姿がーーー☆

 

 

 

この旅で一度きりの、満月に重なる日。

 

 

太陽、月、そして大地の神の

エネルギーに満ちた瞬間。

 

 

しばし車を止め、目の前に広がる光景に

鳥肌の立つような畏怖の念を感じつつ

その岩に宿っているであろう

太古から引き継がれた神々の意識に

心の中で静かに合掌しました。

 

ホテルに到着し、荷物を置いて外に出ると

輝き始めた美しい満月と共に

空一面に幻想的な色が広がっていました。

 

 

振り向くと反対側の空は、燃えるような橙色。

 

 

あまりの美しさに、私の意識はこの風景に溶け込み

空の色がオレンジからピンク色

そして薄紫に変わっていく間、ほぼ瞑想状態で

そこに立ち尽くしていました。

 

 

この地のネイティブアメリカンたちは

こうして昔も今も、大地の神にしっかりと

見守られている、、、。

 

そしてこの大地の神は

誰を罰することもなく

善悪をジャッジすることもなく

ただ、今ここで起こっていることを

静かに見つめている、、、。

 

 

満月の光が部屋に差し込む、眩い夜でした。

 

 

(続く)