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レイクパウエル

レイクパウエルと猿の惑星

 

さて、モニュメントバレーを後にし

次に向かったのは、全米で二番目に大きい人工湖

レイクパウエル。

 

このレイクパウエル、実は

映画「Planet of the Apes(猿の惑星)」の

最初のシーンで、宇宙船が不時着する場面にも

登場していて、とても地球上の風景とは思えない

幻想的な場所だと聞き、是非行ってみることに。

 

また、その近くには、これまた幻想的で神秘的な

洞窟、アンテロープキャニオンもあるということで

この先もまだまだワクワクが続きます。

 

さて、アースシップを出てドライブ中ずっと

今まで見えているようで見えていなかったものが

私の視界の中にはっきりと映るようになりました。

 

 

それというのは、、、

 

 

真っ青な空と雄大な自然の中を

どこまでも延びる「電線」。

 

 

アースシップは完全にOff Gridだったので、

あれ以来「電気の供給源」を意識するようになって

ドライブ中も自然と電線を目で追うように

なっていた私。

 

 

そして気づいたのは、この地のナバホの人々の家も

電気に関してはわりとOff Gridだったということ。

 

経済的、もしくは土地柄の問題で

電気が通ってないと思われる家もあれば

代わりにソーラーパネルがついている家も

少なからず見られました。

 

 

電線とネイティブアメリカンのフェンスを

視界に入れつつドライブは続き

そろそろレイクパウエルのある町

ペイジにさしかかろうとしていた時

前方に、「んんん?」と一瞬目を疑わせるものが

見えてきました。

 

だんだん近づくにつれて

さらにそれの正体ははっきりしてきて

そのあまりに周囲の景色とマッチしない

不自然な存在ぶりに、思わず、

「えーーーーーーーーー!?」

と叫んでしまったもの。

 

 

それが、、、これ。

 

 

この特大サイズの煙突から

勢いよく謎の煙があがっていたのです、、、。

 

 

衝撃と疑問を抱えつつページの町に到着し

さらに、本日のホテルを目指して進むと

向こうの方に見えてきたのは

赤土の大地の狭間にかかる

灰色の大きなアーチ型の無機質な鉄橋。

 

 

そして、眼下に広がっていた光景は、、、

 

 

 

ダム!!

 

 

ダムの反対側に目をやると

これまたびっくり、、、

 

張り巡らされた有刺鉄線の向こうに見える

赤土の大地にひしめく送電鉄塔。

 

 

この光景にすっかり度肝を抜かれた私。

 

この地で自然に囲まれてゆっくりしようと

思っていた期待や、レイクパウエルに対する

幻想的なイメージが一気に壊れてしまいました。

 

もともと、下調べをあまりせずに来てしまったので

文句は言えないけど。汗

 

 

そしてダムの先に突如現れた

地球上の風景とは思えない人工湖

レイクパウエル。

 

 

「猿の惑星」のワンシーンに使われただけあって

一見、幻想的な風景なのだけど、、、

 

上空には、例の煙突からの、黄ばんだ煙が

スーーーーーーーーーーーーっと立ちこめてて

なんだかそっちの方に目を奪われる私。

 

 

そんなこんなで、頭上にクエスチョンマークを抱えたまま

本日から二泊とってあるホテル

レイクパウエルリゾートに向かいました。

 

 

夕方、ホテルの外を散歩しながら

レイクパウエルのほとりで休憩。

 

ココアブラウンの岩々と、

湖や空の青色のコントラストは確かに美しい。

 

だんだん陽が落ち始め

月光に照らされた湖は、かなり幻想的な光景。

 

 

これが人工的な湖なんだなーと思いながら

電線のことや、煙突のこと、ダムのことも

考えてしまった、、、。

 

寒くなって来たのでホテルの部屋に戻って

ふとテレビを付けると、衝撃のニュースが!!

 

 

アメリカ東海岸、ハリケーン「サンディ」により

600万戸以上が停電!!

 

 

まるで大都会の滅亡を描いたSF映画のような

光景が、テレビに映っていました。

 

 

 

真っ暗なマンハッタン、、、。

 

 

 

翌朝、昨日の煙突のことや、ダムのことも

ネットで調べてみました。

 

 

 

 

まずは、あのダム。

 

 

もともと、この地はグレンキャニオンと呼ばれ

グランドキャニオンより美しいと

称えられたそうなのですが、、、

 

水源の確保と周囲の州への電気供給を目的に

1956年、コロラド川をせき止める形で

この地にグレンキャニオンダムが建設されることに。

 

建築開始から10年の歳月を経てダムは完成し、

さらに17年の歳月を得て、ダムは満水になって

グレンキャニオンは、ダムの底に沈んでしまい

代わりに誕生したのが、この人工湖レイクパウエル。

 

 

人々に電気と観光地をもたらしたこのダムは

この地の生態系を大きく変えてしまい

今や「アメリカの環境史上最悪の汚点」と

言われているそうです。

 

 

続いて、あの煙を出していた煙突の正体について。

 

あれは、ナバホ族の土地に建てられた

「火力発電所」。

 

グレンキャニオンダムはもともと、

発電を第一に考えて建設されたわけではなかったので

(別の理由があったのだけど、ここでは割愛)

そこからの電力は周辺地の受容をカバーできず

1970年代、石炭によってこちらでも

電力が生産され始めたのだそう。

 

ナバホの地は石炭を始め、ウラニウムや

天然ガスなどの資源が豊富で

この火力発電所で生産される電力は

グレンキャニオンダムの5倍以上とのこと。

 

この発電所のおかげで、地域の人々が

電気の通った便利な生活を送れ、さらには

ナバホ族に沢山の雇用を生み出しているという

経済政策的な一面もあります。

 

 

ちなみに、煙突からモクモクと出ていた煙の成分は、

大気汚染物質である二酸化硫黄(亜硫酸ガス)や

窒素酸化物、そして、年間二千万トン近くもの二酸化炭素。

 

 

ラグジュアリーなリゾートエリアと

その裏にある、複雑に絡んだ課題。

 

これ以上、地球を破壊しない形で、

電気と雇用も賄える方法が普及するには、

後どのくらい時間がかかるんだろうか、、、。

 

 

電線は、今は私たちの生活に欠かせない

「生命線」。

 

おかげさまで、私たちの生活水準はあがって

とっても快適に暮らせている。

 

でもこれからは、もっと多くの人が

「持続可能なライフスタイル」に

移行していく時代になるはず。

 

 

代替エネルギーや、オフグリッド生活について

もっと知りたくなったきっかけの一つになった

レイクパウエル滞在でした。